お金だけが価値じゃない
NGOでのお仕事ってちょっとイメージしづらいのですが、実際に『JEN』に入って最初はどんなことをされていたのですか?
私はずっと広報を担当しています。NGOって基本的に新卒があまりいないんですよ。即戦力頼みという感じですね。私はずっと広報の仕事をしてきたのでここ『JEN』でも広報担当です。
仕事のやり方は民間企業と同じですよ。あえて特徴をと問われると、国際ニュースになる出来事のほとんどに携わっているので、報道関係者とのやりとりが多い、ということでしょうか。
これまでのキャリアを生かせるというのは良いですね。わたしも早く経験を積まないとです(笑)それでは『JEN』に来て良かった!と思うことを教えてください。
出会う人たちが元気になっていく姿を見れたとき、やっていてよかったなと思います。人が元気になっていく時間を一緒に過ごせることにやりがいを感じるんです。
昔の私だったら「コピーとっといて」「ファイリングしといて」「お茶~!」とか言われると、なんで私がやらなきゃいけないんだろうと思っていましたが、今はなぜ端を揃えてファイリングするのか、なぜおいしいお茶を入れるのか、1つ1つの事柄に意味があることを理解できるようになりました。丁寧に生活できているのかなと思います。この仕事を通して、お金だけが価値じゃないと思えるようになりました。
日本の税金が役立っていることを知ってほしい
多くのご経験を積まれていらっしゃるのでいろいろあるでしょうけれど、逆に大変だなぁと思うこと何ですか?
私は多くの人に世界の格差というのを知ってもらいたいし、多くの人に世界中で起こっていることについて考えてほしいと思うんです。
日本では私たちの税金を使ってODA(世界開発援助)というものを途上国に出しています。でも日本人ってそのことをあまり知らないじゃないですか。その税金は世界でとても役に立っているんです。役に立っているということを納税者は知った方が良いと思うし、知ってみると日本人であることにも、今よりもっと誇りを持てると思うんです。
仕事では、世界中の多くの人の自立する力を支えています。でも、それを貨幣価値にするとどのくらいなんだと考えてみても換算できない。出会う人たちは戦争や災害でいろんなものを失ってどん底の気分なんです。でも、NGOの支援活動が支えとなって、そんな状態を自分の力で乗り越えてハッピーになっている人がいるんです。幸せのかたちって、10人いれば10通りありますよね。私は、NGOの広報担当としての自分の役目は、声なき声を代弁して、一人ひとりのパーソナルストーリーを世の中の人に知ってもらうことだと思ってます。だから、わたしも自分なりに一人ひとりと真剣に向き合います。年間70万人全員はちょっと無理ですけどね。これをどうやって世の中に伝えて共感してもらうか、が日々の挑戦です。
パキスタン側のカシミール地方にて
未来につながるアクションを!
実際に実行してわかるような難題もあるのでしょうね。
では『JEN』の今後の活動について教えてください。
私は今、世界がぐちゃぐちゃになっていると思っているんです。憎しみの連鎖が起こるかもしれないなって。それは途上国だけじゃなく、世界中どこでもあり得ることだと思うんです。日本でいうと東京とそれ以外の地域の違いや教育・機会・情報量の格差など。今はそれが当たり前だと思っているかもしれませんが、何かをきっかけにそれが憎しみ合いになる可能性もゼロじゃない。
それを考えるともう海外の途上国の支援という問題だけではなくなるのでは、国単位ではなく課題ごとに解決しなければいけないんじゃないかな、と。インクルッシブっていうんですけどね。JENをはじめ世界のNGOでは、Leave No One Behind(誰一人取り残されない社会)というスローガンで、(排除ではなく)寛容な社会をつくって地球にやさしくあろう、というような取り組みを始めています。
パキスタン側のカシミール地方にて
たくさんお話しいただきありがとうございました!
最後に学生さんに一言お願いします!
いろんなことに関心をもってください!やりたいと思ったことは絶対やってください!失敗はするものなので恐れることはありませんよ!
今年2017年は変化の年になると思うので、未来につながるアクションを何か一つ、小さくてもいいのでやってみてほしいと思います。