じゃあ、俺もフランス行っちゃえって(笑)
本日はお忙しいところTEAMキモエの取材に応じてくださり、ありがとうございます。それでは篠崎さんどうぞよろしくお願いします。
はじめは芸大を目指して長野から上京して油絵を描いていたんです。高円寺にある小さな美術研究所でしたが、浪人生でもプロ意識が高く、受験して大学へというより、絵描きになるんだ! という強い思いで皆さんやっていました。
そこの研究所の先輩でフランスに行った人がいたので、じゃあ俺もフランス行こう!って(笑)。2年くらい滞在して日本に帰ってきて、知り合いの紹介で版画工房でバイトを始めたんです。そこからずっとこの仕事を続けていますね。
そうなんです。でも行こうと思ったときにはお金がなかったので、本のセールスの仕事を2年間やってお金を貯めてフランスに行きました。フランスでは研究所に入っていました。でも、せっかく来たならヨーロッパの美術館を見て回ろうと思って、旅をすることにしました。金がなかったので自転車で回ろうと思ったんです。1回目は1ヶ月かけてコペンハーゲンまで行きましたよ。2回目は2ヶ月かけてスペイン、南仏、イタリアと巡って来ました。
オランダでのことですかね。オランダの防波堤の一番外側の道を通ろうと思ってアムステルダムから2日かけてそこまで自転車で行ったんですが“入っちゃいけない”と書かれてるんです。でも、せっかくここまで来たのだからと、土手の下に降りて自転車を担いで行っちゃいました(笑)。そうしたら戦闘機が飛んでくるんですよ。しかもだいぶ低空飛行でね。なんだろう?くらいに思っていたんですが、10分したらまた戦闘機が来て! というのが数回繰り返されて、今度は正面から超低空で時速500km〜600km位で僕を目掛けて飛んできたんです!
即座に自転車を横に蹴飛ばして土手に這いつくばりました。真上をバーッと飛んでいきましたけど、あれは本当に命がけでしたね(笑)防波堤を爆破するとでも思ったんでしょうかねぇ。スクランブルされたんです。僕の中ではちょっとした自慢です(笑)。フランスでは勉強の思い出よりもこういう旅の思い出のほうが残っていますね。
無事に帰ってこられて本当に良かったです。日本に戻ってくるきっかけはなんだったんですか?
長くいたから良いっていうものでもないんですよね。あまりにも長くいると帰れなくなるんです。向こうでやっていくんだ、という強い覚悟があれば別ですが、それは難しいかな、と思い帰ってきました。