今、続いていることが合っていること!
自分に合っている仕事はどうやって見つければいいのでしょうか。
僕もはじめはこの仕事が自分に合っているかなんてわかりませんでした。でも、今まで続いているということは合っているということなんだと思います。やる前から自分に合っている仕事を見つけるということは難しいと思うので、まずは興味のあることをやってみることが大事だと思います。
――このあと、実際にインクをつける作業やラメづけ、様々な作品やたくさんの種類の版を見せていただきました。そんな中で、版画の世界の現状についてもお話を伺うことができました。
ウチなんかは見てお分かりのように手工業の世界でほとんど絶滅危惧種。誰も危惧してくれないから絶滅種といってもいいよね(笑)。継ぐ人はいないだろうから、僕らの世代でなくなるんじゃないかな?
そうなんですか!? このお仕事をする人が減っていってるということですか?
減っているというより、今はインクジェットに移り変わっているんですよ。インターネットで「版画工房」とか「版画」で検索すると「ジークレ―」という言葉が出てくると思います。ジークレ―というのはフランス語で、インクジェットと同じ意味です。普通の人にとってはあまり聞きなれない言葉ですよね。だからジークレ―版画という言葉でごまかされてしまいます。中にはインクジェットで作ったものを「リトグラフ」と言って売り出しているものもあるんです。
インクジェットということは、もう機械で作っているということですよね?
そうです、デジタルインクジェットプリンターを使ってるんです。それをジークレーといった名前で呼んでいます。見た目は普通の人が見てもわからないんです。一般的に売られている、版画家の版画以外はインクジェットプリントですかね?
今回取材をしてみて、初めて触れたプロの版画の世界。
思っていたよりもたくさんの経験、そして苦労をされてきた篠崎さんのお話を聞けてとてもよかったです!
最後に学生さんへメッセージをお願いします。
学生の皆さんは将来のことなどで不安なことがたくさんあると思います。ですが、様々な経験をした私でも不安なことがないことはありません。だからなおさら、どんなことにも恐れずにチャレンジしてみてください。やっていくうちにいつか自分に合っているものに出会えると思います。
プロフィール

- 篠崎 俊泰(シノザキ トシヤス)
915版画工房 摺師
1954年 長野県白馬村生まれ。76年フランスパリ留学。アカデミー・グランド・ショミエールに学ぶ。自転車で西ヨーロッパの美術館をめぐる。83年 文化庁在外研修 版画摺師部門でニューヨークSoLo Press にて研修。ドナルド・サルタン、ロバート・クシュナー、ジュディ・リフカ他の版画制作をする。91年 横浜に「915版画工房」を設立。松谷武判、渡辺豊重、佐野ぬい、川嶋淳司 他、リトグラフを中心に作家とのコラボレーションを旨とし、オリジナル版画を制作して25年が過ぎようとしています。
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915版画工房
〒245-0065横浜市戸塚区東俣野町1124-5
TEL/FAX ; 045-853-0989 WEBSITE : 915hangakobo.com
制作スタッフ
インタビュ・テキスト 宗村 瑞穂
企 画・制 作 野澤 実以
監 修 TEAMキモエ