いっぱいありますよ!(笑)
たとえば私が入社して1年半くらいのときに担当したFacebookページの本です。
この本ではいろいろな企業のFacebookページを紹介しているのですが、ネット上のコンテンツは著作権が難しく後からトラブルになることが多いんです。
ですので事前に約40社すべてに掲載内容の確認を取りました。これだけ多くの会社への確認作業は初めてだったのですごく苦労しました。
たくさんの会社に確認を取るということは、多くの修正が出るということ。
スケジュール的にもだいぶ切羽詰まりました。
苦労したことも多かったのですが、いろいろな方々とお話しする機会ができ、貴重な体験にもなりました。
あとは先ほども紹介したLINEスタンプの本ですね。
LINEでオリジナルのスタンプを作ることができるようになったことで、制作に興味のある人が多いだろうなと思って企画しました。
当時LINEスタンプの本は一冊も出版されていなかったので社内では反対意見も多かったです。
企画会議で何度も提案していく中で、周りの方がたくさんアドバイスをしてくださいました。
改善していくうち「これなら売れるのではないか」ということで納得してくれ、無事に発行までこぎつけました。
まずはパソコン書っぽくないように作りました。見た目もカラフルで正方形サイズ、手芸本のようなイメージにしました。読んでいて楽しい本を作りたかったんです。
編集プロダクションの方と協力して、実際にイラストレーターの方にイラストを書き下ろしていただきました。そのうちの1つは実際にスタンプ化したんですよ!
スタンプの紹介本でありながら、スタンプの大体の作り方がわかるガイドブックにもなっています。
企画している段階から「こういう本になる!」というイメージがすでにできていた初めての本なので、自信をもって出版することができました。
企画する段階で、その本の完成形をできるだけ具体的にイメージすることです。内容だけではなく、装丁や体裁などもです。
たとえば、入社1年目のとき、印刷用紙のことを全く考えずにいたら「その紙でいいの?」上司に聞かれました。
紙を変えられることは知っていたのですが、それがどういう意味を持つのかを知らなかったのです。
「この紙にしたらすごい薄い本になるよ!」と言われてようやく気づき変更をしたのです。
そんな経験があった今では、企画の時点でだいたい何センチくらいの厚さの本にするかを考えるようにしてます。
束見本という何も書かれていない真っ白な紙を使った見本を作って、どんなものにするかを検討することもあります。
いろいろな素材があるので本の種類によって変えています。
武士道とドイツ哲学
本が好きだったので出版業に興味があり、就活中も出版社しか受けませんでした。
出版に興味があった理由は、ある情報を1から自分で組み立てて紹介をしたい、ということでした。
大学院に通っていた2年間のあいだギャラリーでアルバイトをしていました。
そこでは現代アートを展示していて「この作家をこういう側面から紹介したい」「こういう作家をこういうグループにして紹介したい」など自分たちで企画を立てていました。
それがとても面白かったことと、本が好きだったことから、1冊の「本」という限られたなかで自分の満足いく形で紹介することができる「編集」という仕事にとても興味があったんです。
「同じお金を稼ぐのでもこういう方法で稼ぎたい!」というものを感覚として感じました。
編集の仕事はそのとき感じた「お金を稼ぐことに対していやじゃない」やり方だと思ったのもきっかけの1つかもしれません。
わぁ!すごく行動的だったんですね。大学の専攻はなんだったんですか?
ドイツ哲学 !! それも本と関係があるのですか !?
それはですねぇ(笑)。
もともと国文学、日本の純文学がとても好きでした。
中・高の国語の授業の中で、1人の作家を決めその人について好きなことを紹介せよというものがあり、太宰治、森鴎外、夏目漱石、石川啄木といった作家たちについて調べていました。
とりわけ太宰治が好きで「太宰オタク」と呼ばれるほど調べ続けた6年間でした。